2021/11/8
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「糸」 |
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はじめまして。 「スクールサポートクラブとくしま」のNIKO、Fと申します。 ブログ初心者ということで、とりあえず思いつくものから書いていきますので、 お暇な方はお付き合いくださいませ。 まずは趣味の映画から。 最初のご紹介は昨年(2020年)8月公開の映画、「糸」です。 いわずと知れた、中島みゆきさんの代表作の一つ、「糸」の世界観を映画として表現した作品で、私生活でも噂のある「菅田将暉」さんと「小松菜奈」さん主演で話題になりました。 【STORY】(ありきたりですが、観ていない方のために) 平成元年に生まれた男女の18年間を平成史として描いた作品。舞台は北海道美瑛。高橋漣と園田葵は平成元年生まれ。13歳の時に出会った2人は初めての恋をするが、間もなく葵は家の都合で去ってしまう。8年後、友人の結婚式のため訪れた東京で、漣は、葵と再会する。しかし、8年の歳月は、2人に別々の人生を歩ませていた。その後、2人はそれぞれ人生の大きなうねりの中で10年の時を刻むが、平成最後の年、2人はふたたびめぐり会うこととなる。運命の糸によって。 【私感】 最近の日本映画は面白いな、とつくづく思います。 特に、人の生きる様子(人生を語るというような大袈裟じゃなくても、青春の1ページのような)を描いた作品に、良いのがたくさんありますね。 正直ちょっと前まではあまり興味を持っていませんでした。 どうしても外国の大作映画「ハリーポッター」とか、「パイレーツオブカリビアン」や、派手なアクション映画「バイオハザード」や「ワイルドスピード」でわくわくしていましたから。 そりゃもう、年間300近くの作品を観ましたが、その9割は海外作品でした。 日本映画でも、「るろうに剣心」とか・・・ キーワードは、「豪華超大作」「アクション巨編」「シリーズ」「社会派」だったと思います。もちろんいい作品はたくさんあるのですが。 そんなある日です。 PTA主催のバザーで、ふと見つけた格安ビデオ。 ただタイトルに惹かれただけなのですが、パッケージの裏の解説を見て興味がわきました。タイトルは「いま、会いにゆきます」。 今は亡き「竹内結子」さん主演で、お相手が「中村獅童」さん。映画のストーリーからそのまま実生活につながったかのようなお二人でしたが・・・ とにかく非現実的だけれども設定が面白くて、せつなくて、愛にあふれた映画でした。 キャストの出演料以外は結構低予算ぽくて。 でもそんなの関係なく、場所や構図、季節設定など、どれをとっても美しくて… って、この映画のお話じゃなかったですね。 あぶないあぶない、よく話がそれてしかも拡がっていっちゃうんです。 ごめんなさい。話すと長くなるので、またの機会にということで。 とにかく、それ以来、日本映画を意識するようになりました。 するとね、結構あるんです。 自分の琴線に触れるような作品が。 ちなみに、私はジャンルは問いませんから、その時のマイブームと言いますか、 ようは気になるものを片っ端から観て回るという。 映画に限ったことではありませんが… で、たくさん楽しませていただいた作品の中で、まずは皆さんに近い(「いま会いにゆきます」は17年も前の作品ですから)「糸」を。 【about STORY】 〇主人公や周囲の人たちが生きていくタイムラインを、誰もが共有している、平成の“時代”という大きなうねりを利用することで、ドラマチックに彩っています。 自分たちが平凡と感じているような毎日や惰性で生きている現状について、その時々に意味があるということを認識させられるような設定です。 〇登場人物それぞれが「キーワード」をもっていて、 「お金」であったり、「結婚・離婚」、「震災の傷」、「夢」、「仕事」、「成功」、「挫折」、「DV」などなど。 それを役者さんの個性と力で見事に表現しています。 〇主人公二人の、「出会い」と「別れ」。 そこから別々の「出会いと別れ」、「成功と挫折」があって、人生の流れを描いていくのですが、 ところどころにニアミスとか、キーポイントなどが挿入されており、 伏線的につながっていきます。 〇冷静に見ると、一つ一つのシーンはありがちなことを描いているだけで、 無理筋なところも散見されますが、 そのような巧みな設定(ディレクターや監督によるデザインと言ってもいいと思います)によって、 観る側はどんどん引き込まれていきますから、 覚めることなく、流れを共有することができます。 これはとても大切なことで、 臨場体験というか、疑似体験というか、 登場人物の出会を共有するというのが、映画の面白みであり、素晴らしさでもあると思います。 〇中島みゆきさんの「糸」にある世界観を、ほぼそのままストレートに表現することで、 歌を知っている人にとっては感覚的に大変わかりやすい物語です。 歌の抑揚そのままにストーリーは展開していきますし、 歌自体が“ターニングポイント”となる場面に挿入されています。 また、挿入がイメージとしてではなく、スピーカーから流れてくるという設定がまたリアルです。 〇まとめますと、 極めてありがちな人生模様を、 様々なツールや巧みな設定でドラマチックなものとして描きつつ、 共有する観る側にとっても、実は自分の人生もドラマなんだと納得させるような、 大きく言えば、自分の人生を意味づけできるようフィードバックできる作品になっています。 〇つまりは、 ストーリー的には、主人公二人の人生の歩みというものを 「糸」のように、最後につなげてゆく一方で、 映画として計算しつくされたパーツや伏線をこれまた 「糸」のように最後につなげており、 テーマが「糸」、コンセプトも「糸」で、まさに中島みゆきさんの「糸」の世界観そのものであるように思いました。 【about ART】 ストーリーは見た人それぞれの評価で、演出や設定、キャストなどもそれぞれに思うところはあると思います。 ここまで完全に独りよがりなことを書いてきましたが、中身がどうあれ、絶対値として素晴らしいと思えるものをぜひご紹介させていただきたいと思います。 それは、「絵」です。 場面ごとの「絵」、いわゆるロケーションは もちろん北海道の素晴らしい景色(特に美瑛はきれいです、本当に)ですし、 それぞれのシーンで選ぶ場所も大変慎重に選定しており、 雰囲気だけの表現ではなく、ほんとうに美しいです。 たとえアパートのワンシーンであっても、ごみの配置一つとっても、これ以上ない構図を切り取ってますね。 かなりマニアックな方が撮っていると思います。 それに、対照的な場面では必ず同じような場所やカットを、 「色」(=季節や時間)を対照的に持ってきています。 いわゆる対比の美しさでしょうか。 テーマである「糸」に関しても、 例えば手前歩道橋を横切る菅田将暉さんの遠景に、 下の歩道を直進する小松菜奈さんを映り込ませたり、 垂直であるけれど交わりはしない「糸」を 視覚的に表現していて、しかも構図が美しい!などなど・・・ しょっぱなから長々とつたない文を書きました。 お付き合いいただいてありがとうございます。 あと何回か書けば、もう少し読みやすくはなると思いますので、 今後も、どうかよろしくお願いします。 イヤー映画ってのは本当にいいものですね。 それでは、また、ご一緒に楽しみましょう! |
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